よくわかる!電気自動車(EV)~専用部品の特徴や仕組み、ガソリン車との違いを解説!

現在、世界的に脱炭素・カーボンニュートラルへの関心や大気汚染など様々な環境問題への関心が高まっています。こうした環境問題の解決に向け、大手自動車メーカー始め、電気自動車(Electric Vehicle, EV)が普及してきました。

電気自動車は、内燃機関を使わずに電気のみでモーターなどを駆動する自動車で、電気自動車のバッテリーにはリチウムイオン電池などの電気を動力源とするため、排気ガスの排出がなく、環境に優しい運転が可能です。

今回の記事では、電気自動車の仕組みや用いられている部品、ガソリン車との違いなどをご紹介します。

電気自動車(EV)とは?その構造と仕組みについて

気候変動への対策として、多くの国が持続可能な輸送手段への移行を推進しています。

電気自動車(EV)は、運転中の二酸化炭素排出を削減するなど、環境へ配慮が十分にできるため、多くの政府や企業が推進しており、世界中で急速に普及し始めています。

では、この電気自動車がどのように動いているのか、その仕組みについて詳しく見ていきましょう。

電気自動車の主要な構成要素とその動作原理は以下の通りです。

  • 電動モーター

電気自動車の心臓部である電動モーターは、電気エネルギーを駆動力に変換し車輪を直接駆動するために使用されます。回転子であるローターと固定子のステーターで構成されており、ステーターで磁力を発生させてローターを回す構造です。

モーターには、回転数を制御する交流モーターが使われています。交流モーターに電力を流すと、モーター内部のコイルがN極とS極に変化します。コイルの変換により、磁石やコイルを回転させて駆動力をつくる仕組みです。

電動モーターは効率が良く、燃焼エンジンに比べて静かで振動が少ないため、快適に走行することができます。

  • バッテリー

バッテリーは、電気自動車の動力源である電力を供給するためのエネルギー源です。

バッテリーに使われる充電池は、リチウムイオン電池が一般的ですが、鉛電池やニッケル水素電池なども使用されています。

リチウムイオン電池はエネルギー密度と寿命が優れており、1回の充電での走行距離が他と比べると比較的長距離です。さらに、リチウムイオン電池は小型なのに対しエネルギー密度が鉛電池の3倍以上あり、急速充電にも対応しています。

バッテリーは家庭用の電源や専用の充電ステーションで充電できます。

  • 電力制御ユニット

車両の加速度や駆動力を調整するために、バッテリーからの電力を制御します。このユニットは、エンジン車でいうところの燃料ポンプの役割をもち、電力の交直変換を行うことで調節をします。

電圧を調節する「コンバータ」や、交流モーターを回すための「インバータ」などの部品がこれに当てはまります。モーターの効率を最適化し、エネルギー消費を管理する重要な役割を果たしています。

  • 充電システム

電気自動車は、外部の電源からバッテリーを充電する必要があります。電気自動車の充電器は、普通急速の2種類があります。また、回生による充電も可能です。

  • 普通充電

普通充電器は、交流電源で電力を蓄える充電器です。

充電には数時間から一晩かかる場合が一般的なので、自宅のガレージや事務所、宿泊施設などの停車時間が長い場所に設置されています。

普通充電器には単相AC100~120V、もしくは200~240Vが使われています。

100~120Vの場合、一晩で約8時間充電すれば、40キロメートル前後走行が可能です。200~240Vの場合1時間で充電できる電力は「3kWh」で、約10kmの走行が可能です。

普通充電器でバッテリー容量を満タンにするには、約20時間かかります。

  • 急速充電

急速充電器は高出力の直流電力で、バッテリーを短時間で充電することができる充電器です。主に長距離旅行中の高速道路のパーキングエリアやサービスエリアの充電ステーションやディーラーなどで利用されています。

バッテリーに大きな負担をかけるため、急速充電器の利用時間は原則として30分に定められており、頻繁に急速充電を行うとバッテリー寿命が短くなる可能性があります。

また、バッテリーの80%充電後は充電速度が遅くなるため、完全に充電するには追加の時間が必要です。

  • 回生による充電

「回生」とは、減速するときに走っているときの運動エネルギーを電気エネルギーに変換して利用することを指します。通常のブレーキでは、運動エネルギーを熱として消費して捨ててしまいますが、回生ブレーキを利用すると、捨てていたエネルギーを電気に変換して、バッテリーに充電し再利用することができるので、エネルギーを効率よく利用可能です。

また、回生ブレーキと摩擦ブレーキが車両を制御し、ブレーキの負担を抑えられるためメンテナンス費用の節約にもなります。

ガソリン車との違いとは?

ガソリンエンジン車と電気自動車の大きな違いは、搭載されている動力源と部品点数、排出される物質の種類など多くの点で異なります。主な違いを詳しく解説します。

  • 動力源

前述したように、電気自動車は電気モーターを動力源として使用し、エネルギーは充電可能なバッテリーに蓄えられます。ガソリン車は燃料としてガソリンを使用し、ガソリンを燃焼する内燃機関を通じてエネルギーを生成しています。

  • 内部構造

電気自動車の構造は大きく、バッテリー・モーター・コントローラー(電力制御ユニット)の3種類に分類することができます。

電気自動車のモーターはガソリン車のエンジンに当たり、バッテリーはガソリンタンクに当たります。コントローラーは、ガソリンエンジン車における燃料ポンプなどの調整部品と同じ役割を担っています。

電気自動車は以上の3種類の構造から構成されており、内部構造は非常にシンプルです。

  • 部品数

電気自動車は、部品数が少なくシンプルな構造となっています。

ガソリン車の部品数は、一般的に10万点以上で、エンジンのみを見ても1万点の部品で構成されています。

一方、電気自動車の部品数は約1万点と、ガソリン車の1/10程度で済みます。部品の製造にかかるコストや原材料の調達などという点でも電気自動車は優れています。

  • 航続距離

一度の充電で走行できる距離(航続距離)は技術の進歩により年々向上していますが、まだガソリン車に比べて短いことが多く、充電インフラの整備状況によっては不便を感じる場合もあります。

ガソリン車の航続距離は、一般的に1,500㎞ですが、電気自動車は満充電の状態で200~600㎞とガソリン車より短い航続距離となっています。

また、ガソリン車の燃料補給は比較的容易であり、電気自動車の場合充電スタンドの整備が不十分なこともあり、利便性は低下します。

電気自動車のメリット・デメリット

電気自動車は多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。これらの利点と欠点を理解することが、電気自動車を選ぶ際の重要な判断基準となります。

  • メリット
  • 静かで快適な走行

ガソリン車はガソリンを燃やして動力をつくるため振動や騒音が大きくなりますが、電気自動車はバッテリーとモーターで動くため、エンジン駆動時の振動や駆動音を抑えられており、非常に静かで振動が少ない走行が可能です。

  • 環境への影響が少ない

電気自動車は走行中の二酸化炭素やその他の有害ガスの排出を抑えられるため、空気質の改善と地球温暖化の緩和に寄与しています。

発電時に二酸化炭素が発生してしまいますが、走行中はガソリン車のように二酸化炭素や炭化水素、窒素酸化物などを排出しません。

  • 維持費用が安い

電気はガソリンやディーゼルと比較して安価であり、電気自動車のエネルギー効率も高いため、長期的に見てコストを低く抑えることが可能です。

また、太陽光発電やV2Hなどを自宅に設置している場合、電気料金プランや充電時間を調整することで電気代の負担を抑えることが可能です。

  • デメリット
  • 充電時間が長い

ガソリン車の場合、数分で給油を終えることが可能ですが、電気自動車の充電には数時間かかることが一般的であり、普通充電で約20時間程度、急速充電器を使用しても完全充電まで30分以上かかってしまいます。

長距離を運転する際は事前に充電スポットを確認し、余裕をもって準備しておくことが必要になります。

  • 充電インフラの不足

特に地方などでは、充電スポットの数が不足しており、1箇所あたりの充電設備が少ない傾向にあります。

都市部では有料駐車場内をはじめ、充電スポットの設置数が増えていますが、まだまだ長距離移動の際に不便を感じることがありそうです。

  • 航続距離の制限

電気自動車のバッテリーは、一度の充電で走行できる距離が限られており、ガソリン車に比べて短いことが多いです。また、寒冷地ではバッテリー性能が低下し、航続距離がさらに短くなることがあります。

また、バッテリーは徐々に劣化してしまいますので、走行距離が徐々に短くなる点にも注意が必要です。

電気自動車用部品の種類と特徴

電気自動車(EV)の普及に伴い、従来の自動車用部品に新たに専用の部品システムが必要とされています。これらは電気自動車特有の機能を実現するために製作されたもので、現在も開発が進められています。

電気自動車化によって新たに必要になった主な自動車用部品をご紹介します。

  • パワーエレクトロニック・ユニット
  • 急速充電プラグ
  • 車載充電器
  • リチウムイオン電池
  • バッテリ・コントロール・ユニット
  • モーター

電気自動車では、エンジンやトランスミッションが不要となる一方で、電気自動車を動かすためのモーターや電力を蓄えるための電池、電池からの電流に変換し、モーターを動かすためのインバーターなどが新たに必要となります。

また、これまでとは異なった熱制御振動制御が求められるようになりました。高電圧かつ大電流を必要とし、駆動にモーターを用いるため、これまでの内燃機関の熱制御や振動制御とは異なる制御を行わなければいけません。そのため、そうした点を考慮した部品設計や制御用の新部品が必要になります。

以上の中でも、特に重要な位置を占めるのが電池です。電気自動車に搭載されるリチウムイオン電池の場合、価格は車両価格の半分程度を占めるともいわれており、電気自動車が高価な要因となっています。

そのため、近年は電池の生産コストの低減を実現する技術が求められています。

電気自動車(EV)とは? まとめ

電気自動車は、バッテリーやモーターなどを使って走行する車です。

電気自動車の技術の進歩によって、環境への配慮や静かな走行が可能であり、持続可能な資源を活用した移動手段として、近年その重要性を増しています。

しかし、航続距離の限界や充電インフラの不足といった課題もある中、電気自動車の需要の増加によって技術の進歩が求められています。

根本電工株式会社では、電気自動車(EV)用部品を含め、新たなチャレンジを重ねております。安全かつ軽量性の高い、高性能・高品質な部品の提供が可能です。電気自動車用部品の製造に関するご依頼をご検討中の方は、お気軽に当社までご相談・お問い合わせください。